「第2回濃尾地区医療連携セミナー」(岐阜)

において

「病診連携Wの会」の講演会がありました

(共催:濃尾医療連携研究会、羽島郡医師会
松波総合病院)      

(平成15年4月19日)

特別演題: 「病診連携Wの会 開業医側の取り組みと考察」
        中村胃腸科内科医院 院長 中村 眞巳 先生

講演要旨


私は、横浜市神奈川区で中村胃腸科内科を開業している中村と申します。開業歴は30年であります。

病診連携は何故必要かということですが、始めた当初10年あまり前には病診連携という言葉はありませんでした。ただ開業医が病院に求めたのは入院ベッドの確保でした。


患者も病気になったら入院紹介をしてくれるという医療を求めた時代でありました。かかり付け医のいない患者は、いわゆる大病院志向という現象にしめされるごとく、入院の保証を求めて、ひたすら大きな病院に一日がかりで見てもらうということは、患者の心理として、真剣なものであったと思います。病院へ通院さえして、診察券さえもっていれば特別な切符を自分は持っているという感覚でひたすら外来へしがみついている時代でありました。病院側の先生に問いますと、開業医を紹介しようとすると「病院は患者を見捨てるのか」といわれという話もきいております。病院側としても、まだ外来が採算部門として見合っていれば、それなりに患者を離さないという面もありましたし、外来患者数を誇っていられた時代でもありました。しかし、医療改正により、紹介率の問題、入院日数の短縮の問題が大きくなり、保険加算が経営上にも大きな影響を与えるようになりました。患者の供給源と退院後の逆紹介の必要性から、開業医との連携、つまり病診連携の必要性は大きくなり、変革の時が来ました。それではその病診連携の背景は何であったかと考えてみますと、開業医側、患者側と病院側の要求は必ずしも一致するものではありませんでした。


開業医の要求は、単なる紹介だけではではなく、病院側の受け入れ態勢の善し悪しも大切な問題でありました。ベッドの問題、患者の病院に対する満足度、病院の医療レベルの問題は最初の要求要件でした。
患者もそれなりに病院、紹介開業医に期待と要求を個々に持っておりました。


病院も運営上にそれなりの理解と協力を我々に求めるのは当然であります。誤解とトラブルも実際に経験しております。逆紹介の際に紹介医を選ぶのに苦労する話、また、いくら説明しても折角紹介してくれた元の紹介医に患者がもどらない事など、難しい問題もありました。
さらに、社会、経済、保険行政の変化は病診連携の変化に大きな影響を与えたと思います。不況とリストラによる、受診者への影響は単に受診抑制というだけではなく、同じ経済負担をするならば、より良い、より合理的な医療を患者自らが情報をもとめて要求するようになりました。


そして、保険改正のたびに、保険誘導という形で、医療形態が変化して、よりよい医療を目指した病診連携の必要性が大きくなりました。
更に、医療法の改正は、平成4年以来既に数次にわたり行われ、診療に「良質かつ適切な医療を行わなければならない」とした条件を既に求めております。中でも、高度、専門化している医療の中で医療機関はより高い医療を求め、患者に対して転医勧告義務を適切に行わなければならないこと。そして、裁判の判例には送る前医、送られる後医の責任の問題も述べられ、患者を送る場合の信頼と責任についての重要さとともに医療連携の中での医療機関の責任問題にも触れ、病診連携を法律の上からも、見ていることにていることに注目いたしたいと思います。
此のような変革の中で、病診連携の現状を見ますと、既に日本全国総論と基本的な病診連携はどの開業医も、病院もある程度は既に実行しているのは確かだと思います。


しかし、各論にはいると、途端に問題が山積して、中々思うようには行かないという事はどの病診連携でも経験していることではないでしょうか。それは、連携を組むDr.の考え方が余りにも多彩であるということが一因と思います。開業医側からは、滅多に病診連携を必要とする紹介患者はいないというレベルから、いても、ただ紹介するだけで十分というレベル、さらに、折角紹介するならば、真剣に患者の身になって、病院側に入り込んで取り組む、さらにはこれを好機として病院の若い先生と一緒になって新しい医学の勉強をしようとするレベルまで極めて多彩であります。ここに、病診連携の必要度の差が当然出てきますし、開業医側の考え方により、病診連携の質の差が当然出てきます。
また、地域特異性も病診連携の質を左右致します。地域の先生方が病診連携をどのように考えているかということです。個人の医師で十分患者を満足させると信じて、ひたすら患者を抱え込んで医療訴訟、医療過誤にまで至るケースもあります。何も面倒な連携にまで加わらなくてもという先生もいます。またある程度のレベルを自らが持っていないと、紹介に躊躇する先生もいまだにおります。地方によっては、先生同士のしがらみからどうしてもA病院には送れるが、B病院には送れない場合もあります。
医師会病院、系列病院があると、気軽に送れる病院も限られ、病診連携には限界が出てまいります。
一方、過疎地の場合決められた条件での連携で当然形態は定まってきます。遠隔地医療あるいはIT利用の病診連携はまたそれなりの形態は当然出来てきます。


このように考えると、病診連携を発展させる場合自分たちが求めるのはどのような形が適切であるかという選択が大切だと思います。
構成員である開業医の意識と理解、そして病院側の対応できる組織力の構成が一つの鍵を握っていると思います。
単なる、数の原理ではなく、質の問題も無視できない所と思います。
病診連携の分類も既に行われていますが、いわゆる一次、二次、三次医療に分ける垂直型があり、これに対して水平型があります。
水平型は機能分化、専門分野を中心にみた分類で実際には多くの病院は既に運営していると思います。細分すれば以下のごとくなります。


1.特殊外来での分類とは、分科会活動が中心となっての病診連携で糖尿病、肝炎、或いは循環器、呼吸器、神経外来などが中心となり、問題となった患者をそれぞれ自分の得意な領域で、且つ自分の出来る範囲を守りながら緊密な連携を保つことですが、勉強会を開催したりして多くの連携の中心的な形態の一つです。
2.IT利用の連携は、デジタル情報での連携になりますが、遠隔地でも、レベルの高いものが期待できる反面、キメの細かい連携には限界があります。個人情報の保護、費用の問題などもあります。実例としては既に都内では区単位で大きな病院、医師会、開業医と結んだ連携が膨大な費用で立ち上げた例もあります。しかし運営と効率に関してはまだ議論のあるところと思います。先生方個人を見ても、電子カルテ、インターネット、Eメールを自由に日常使いこなしているパーセントを考えると、これらを基本条件としたシステムには、費用と効率も含めて問題はあると思います。特に、医療情報の限界は、銀行、宅配、等のごとく、数字と文字のみで完結できるものではなく、プライバシーの守られた膨大な量の個人情報の交換が必要であり、単なるデジタル情報の交換だけでは限界があると思います。しかし、いずれはIT利用のシステムはもっと活躍すべきだと思います。現実には、インターネットを使えば、相当の情報が得られているはずですが、未知の先生に病診連携として患者を送る場合、まだ問題の余地が残されていると思います。
3.機能分化を中心の医療機関レベルの連携には、得意の、採算にあった診療部門を中心とした医療機関レベルの連携で、不採算部門を除いて、高度医療に生きる病院がいくつか組みながら、効率的な地域連携医療に徹する形態ですが、いくつかの有名なシステムは稼働しております。これには、相当の地域内での理解のもとに、制度を能率的に育て上げることが必要ですが、今後に医療形態としては大いに注目したいと思います。
病診連携はこのように出来ても、常に変化していくものであることにも注目しなければならないと思います。

中心である患者の意識、特に権利意識が時代とともに大きく変わりました。かっては、医者に診てもらうのも大変な時代もありました。しかし現在では、自由に医者を選び自由にアクセスして、見てもらえる時代になり、むしろ医者は患者を見させせていただく時代になるとともに、医療事故、医療訴訟には常に気を使わなければならないに時代になりました。医療訴訟の多い米国では医療ミスのない医療は原則的にないということわざがあるそうで、探せばいくらでもあるということに、我々も心しなければならないと思います。
まず、患者の満足と理解を得る大切さを無視することは出来ません。
また医療技術の進歩についていくには、最早個人の開業医では不可能な時代です。常に新しい世代、医療機関との連携が必要ですし、患者も当然として求める時代になりました。
さらに、医療改正は、保険誘導という形で、機能分化を中心とした医療形態の変化をもたらしました。
また、好むと好まざるを問わず、医者、医療機関の増大は、必然的に医師への質の向上と、競合の原理での生き残りをかけた問題としてわれわれに投げかけてくるようになりました。


此のような、さまざまな要因を背景に、病診連携Wの会についてスタートから現在までに至る過程と考察を述べたいと思います。
(略)
10年の経過の中には幾度かの問題も起こりました。(略)


「病診連携Wの会」での問題提起と解決の具体的な例を示します。
まず開業医側はベッドの確保から始まりました。しかし、空きベッドを常に求める事は、病院側からは保証できる問題ではありませんが、相当の犠牲、或いは努力をしていただいた事は、総会の度に説明と経過報告がありますので、我々としても納得のいくところとなりました。どうしても出来ない場合にも、紹介医と密接な連絡をとりながら、他の病院への折衝もしてくれております。入院したらば直ちに、返事を書き、経過と患者の状態と受け持ち医の方針を紹介医に連絡することも要求いたしました。
開業医が病院に患者をお願いした場合、出来るだけ紹介医の求めているものを理解していただきたいと思います。特に研修医、新しい先生が来たときには、病院として病診連携の考え方を教育していただきたいと思います。
医療訴訟の問題を考えると、両者の責任の所在が常に問われることになり、非常に難しい所と私共は理解しておりますので、出来るだけお互いに顔を合わせて、話し合いの機会を持つ必要があり、些細な誤解の起こらないような日頃の努力は不可欠と思います。院内の医師同士でも完全な意見の一致を得る難しさは理解しているつもりですが、私共外部の医師、特に連携している先生とはそれなりの理解を示して戴ければ非常に有り難いと思います。
退院するときには、原則として紹介医に必ず返すというのがもちろん鉄則です。しかし、どうしても他の医者に転医する場合があります。
此の問題については、相当時間を割いて討議しましたが、病院側からは非常に言いにくいが患者が元の紹介医には帰りたくないとか、此の機会に転医したいという強い希望があることが知らされ、我々としても考え込んだ時代もありました。結局、患者はいつまでも医者のものではなく、患者が医者を選ぶ事を尊重しなければならないという結論に到着したわけですが、患者の本心を理解する難しさも学んだ事になりました。病診連携の大切な所と思います。

病診連携は医者同士だけで完結するものでもありません。電話連絡から受付窓口、そして、看護士、検査士、そして多くのコメヂカルの関与によって成立するものです。病診連携の思想はこれらの人々の理解なくしては成立しません。いくら名医がいて、患者も満足しても、患者が受付窓口から帰るときの支払い窓口までに不愉快なことが一つでも起これば、多くの努力は水泡と帰します。
総会には、必ず、これらの人々の出席を求め、出席者一同が建設的な意見をのべて、会の成立があることを理解してもらいます。此のためには、構成員一同、顔の見える病診連携をめざして、紹介状と紹介した相手の先生の顔が結びつくように貴重な時間を割いて会うようにしております。

病診連携Wの会の発展の背景には、確かに、時代とともにその必要性は増し、医療改正による保険誘導は見逃す事は出来ません。特に、機能分担と、地域完結型のより良い医療を目指すとき、必然的にそれに相応しい病院、医師を求めることになり、お互いに、企業努力と、運命共同体としてベストをつくす組織を求めるようになったと思います。
会員構成については、大切な問題ですが、いろいろな形態が考えられ、まだ思考錯誤の状態です。
恐らく、時代とともに病診連携の意義は変わるのではないでしょうか。つまり、現在は医者、パラメヂカルが中心になっておりますが、社会問題として訴訟問題が無視できなくなる時代には患者も弁護士等も此のような会でも問題提起をしてもらい、医療従事者以外からの目線での討議の必要な時も来るのではないでしょうか。
当初は簡単に登録制を行いましたが、人数は増えますが、いろいろと不満が出ました。折角でても、人数が多くて議論出来ないとか、登録だけで、出席しないので顔が見えないとか、Wの会本来の意味を理解できずに自分の都合の良い所だけ利用して誤解を起こすなどの問題もありました。

地方で、何百人という会員がいる組織もありますが、実際にその会員に聞くと、とりあえずベッド確保のために登録しているとか、自分がいつの間にか登録されていて、知らなかったとかいう話も聞いております。それも一つのあり方と思います。しかし、医療法一条でも転医必要な患者に対する転医勧告義務があり、受け取る医師のベッド有無については拒諾の権利も保証しております。電話一本では事故のあった場合責任は逃れられません。注意の必要な所です。

実際に顔の見える活動をするには、会員数の限界があると思います。
Wの会では会員登録、会則、会費も頂いてはおりますが、実際に活動できる範囲で会員として登録していただく。そして、シンクタンクとしての組織として、広く出来たものを、会員非会員を問わず開放していくことにしました。具体的には、医師会の地域医療委員会を通して、医師会全員には全て連絡しております。具体的な内容については山室先生からお話してくれると思いますのでここでは略しますが、開業医が病院側に日頃希望している事は実現できていると思います。
開発の場として、総会、世話人会で討議立案され、実行の場として、開業医全般の日常診療に役立ってもらうこと、さらに効率的には分科会が活躍しております。此のほうが、自由で能率的でスピィーディに事が運用されます。医師会というと会員の議決を得なければなりませんが、Wの会では選択と参加の自由を皆持っているのが特徴と言えます。

最近特に気がついたことは、済生会神奈川県病院中心のWの会の会員が距離的に近い病院と連携システムを適当なサイズで運営して、いくつものミニWの会が出来てきたことです。患者の為によい医療が出来れば、会の名前より実行を重んじておりますので大いに歓迎しておりますが、総会の時には此のような運営状態の報告も含めて討議が出来るようになったのも一つの発展と思っております。
構成員としては、患者を中心に良い医療をすれば。結果には経済効果も必ずあることも忘れてはなりません。

現在の保険制度では改正の度に大きな変化がもたらされ、外総診が出来るかと思えば外されるというように、小手先の点数を工夫しても、改正についていくことが難しくなりました。実日数をいくらあげようとしても、患者の方がすでに処方日数が多く出来ることを知っていますので、不満が出れば、患者は他の医療機関に移ります。更に、何軒も医療機関に通っていると、処方せんを見せて、一つにしてくださいとか、具体的な問題も突きつけます。マスコミを始め多くな発刊物は、既に保険の点数の仕組みからレセプトの読み方まで一般読者に向けて書いている時代です。能率的な通院方法の説明もこれからは患者を集める一つと思います。今までのごとく医師側の有利なように、しらしめるべからずといった時代は終わったと思います。患者が常にマスコミを通じて情報を得て、納得のいく医師を選ぶということも忘れてはなりません。
特に感じるのは、流通業界では、単なる見かけ上に有利に見える大量安売り時代は終わり、むしろ高価でもそれに見合った質での満足を与える欧米の高級店が日本で繁栄を謳歌している現実にも注目する必要があると思います。医療もサービスといわれて久しくなりましたが、点数の増減のみに一喜一憂する時代から、患者が我々をどのように見ているかも考える時代です。それには、目的をしっかりとし、専門領域をはっきりとうたい、その領域に置いて、患者が満足と納得のいく自信を持った医療の実践でこの危機を乗り越える事も必要と思います。その意味で、自分一人で解決するのではなく、より質の高い、患者の満足と信頼を得る医療機関が連携した運命共同体という言葉を使わしていただきました。

特に、最近感じることは、我々医療機関に対する評価は、単に個人の医療技術のみではなく、良い専門医、医療機関に紹介してくれて、満足の行く診療を受けることが出来るかと言うことです。つまり、紹介能力も問われているということです。それだけに、機会のあるごとに紹介できる先生方と顔あわせて、広い紹介能力を持たなければならなくなりました。私どもの会では、講演会も出来るだけ地域の病院で紹介できる優秀な若い先生方を発掘してお話をしてもらいお互いに育て、育ち、特に紹介医の気持ちと連携の意味も知ってもらい、顔も判ってもらいたいと心がけております。現在、勉強の機会はいくらでもあります。しかし、学術講演会でいくら高名な先生の講演を聞いても、自分の患者を気楽に紹介出来なければあまり意味がないと思うようになりました。

顔の見える間柄になるには、相当に会合にでる必要があり努力も必要です。そのような点から、懇親会で親密な顔を合わせる機会は意味が大きいと思います。顔の見える実践の場として問題点、経過報告もいわゆる友達感覚で気楽に聞くことが出来ますし、患者も気楽に送ることが出来るようになりました。

病診連携を顔の見える会として述べてきました。
ここでの問題点として、会員数の限界も考える必要がはありますが、地域医療では実際にそれ程の人数は必要ではなく、むしろ積極的にシステム作りをしながら、パイロットとして、地域の先生方に役立ってもらうという事が、会員にも、病院にも非会員の先生方にも良かったのではなかったかと思います。
相当のエネルギーの投入が必要ですし、個々の先生方の必要度も異なりますので、会員としての義務をかすよりかは広く開放した方が多くの人に役立つと思います。勿論、会員は努力に相応しい更に大きなメリットを受けておりますし、地域の多くの先生方を知ることも、医療事情の変遷を議論することも更なる利益と思います。

診療報酬と病診連携
医療連携は色々な面での注目を浴びながら、動いてきました。特に、改正の動きには敏感に反応しながら変化していることは見過ごすことは出来ません。再診料、外総診の廃止、入院基本料、在院日数、紹介率、更には包括医療が実施されると、患者の動きが変わってくることは避けられないと思います。紹介、逆紹介、在院日数の短縮は必然的に患者の動きの加速化をもたらし、それに耐えられるような、開業医の確保、或いは病院の確保が必要になるとともに、連携の必要性は高まりました。

病診連携の今後
病院にとっては間もなく急性期病院、地域中核病院の選択が問われ、経済的にも大きな影響を受けるでしょう。
そして、適合すればそれなりの経営上のメリットが受けられます。
適合しなければ、それなりの別の選択をしなければならなくなります。
しかし、開業医にとって、経済的にはそれに見合うメリットは情報提供料しかありません。医療は、ボランティアでも慈善事業でもありません。
医療費削減が厳しく実行されておりますが、もとより我々としても耐えられる限度があり、その対応には削減反対とともに、どこに、それにふさわしいものを求めるかも各自真摯に考え無ければならないと思います。
私は、連携の意義と使命を、究極には患者へのより良い医療の提供、そして、その結果、実際に理解して戴いた患者の受診が得られるということだと思います。質を無視した単なる大量、安売りの時代は終わり、質を問う流通業界の実例を見るとき、一つの生き残りの方法として、良質な医療機関の重要性を考えております。護送船団方式では既に耐えられない時代で、病院淘汰の時代といわれております。質と競合を基盤に、切磋琢磨して精鋭船団として生き残りをかけていきたいと思います。
実際に今後次から次へと改正という名で医療システムそのものが変わっていきます。特区問題をはじめ、医療形態の激変も予想されております。改正という名の影響は多彩なものを含んでおりますが、身近な物として、これからは病院側として、機能分化、急性期病院の選択がおこると、現在の120万床が60万床になると厚生省は試算しております。
果たして、実際に入院をお願いしても、また、高度医療を希望してお願いしてもベッドをはじめ医療の質が満足できるかときぐうしております。米国式の医療では、保険契約により、医療行為の選択権はすでに医師にはありません。すべて、保険会社との契約による医療行為が行われております。

まだ、日本の保険医療については、米国型よりは恵まれているといわれております。周知のごとく日本の医療は欧米に比べて決して高価ではありません。医療費削減が財政重視のもとに論じられておりますが、日本の保険医療をもっと広い観点から大切に守っていきたいと思っております。

しかし、これからは、単に制度だけでなく医師の増加、医療機関の増加があり、医療の質と多様性が当然問われます。これには、しっかりした病診連携で効率的、良質な医療の供給の意味を考え、患者の選択と要求を満たす事も大切な部分と思います。

色々な見方からの病診連携をのべてまいりました。この10年間の医療法の改正の中にも、良い医療の提供義務が第一条に書かれておりますが、その中で、医療訴訟の判決の根拠の一つに「連携を前提とした医師の義務」も述べられております。このようなことからも、結語として、終局には、一人の医師による医療の完結から、病診連携により、地域完結型医療と機能分化による医療の質の向上をもたらし、患者により良い医療を提供する、ということと思います。

病診連携はよい医療をするための一つの方法であり、目的ではありません。此の背景と含んでいる内容には当然、医療機関の競合とか、生き残りの問題も見落とす事は出来ず、忍耐強い努力により広い見地から見守る必要があると思います。
Wの会はまだ発展途上の会です。これからも、あらゆる環境の変化に耐えられるように試行錯誤をしながら進みたいと思います。