第45回日本社会保険医学会総会にて(平成19年11月8日)
 「病診連携Wの会」について講演致しました。


シンポジウム:地域における医療連携
 於:国際ファションセンター(東京)


「医療崩壊のなかで、病診連携は」
    (病診連携Wの会を中心に)


中村胃腸科内科医院 中村眞巳


講演要旨:
「病診連携Wの会」は横浜市神奈川区の開業医と済生会神奈川県病院の勤務医が中心となって、「顔の見える病診連携」を旗印に発足し,既に20年近く経過した。当時は、病院も診療所も、患者の診療は、それぞれの医療機関で完結した「自己完結型医療」の時代であった。やがて、高度医療の導入と患者意識の向上により、機能分化による紹介、逆紹介が求められ、連携医療の必要性が高まり、「地域完結型医療」の時代となった。この趣旨に賛同した多くの有志により、会は発展した(中村真己:病診連携. 悠飛社、東京、2004)。当時は、医療行政の面からも、紹介率、連携加算が導入され、連携医療は経営上からも注目され全国各地でめざましく発展した。しかし、今回の医療費削減政策の導入とともに、「紹介加算」で象徴された医療は変化した。時代と共に、「医療訴訟」で象徴される患者意識は変化し、更に「医師不足」と「高度医療と専門性への特化と多忙化」及び「短期入院とベッドの不足」に象徴される連携病院の量と質も大きく変化し、いわゆる医療崩壊の時代となった。患者本位の医療と今後の医療をどのように評価すべきか、戸惑い感じているのが、多くの医療関係者の現状であろう。


世界に類を見ない国民皆保険制度と、日本の医療の高いレベルにもかかわらず、安い医療費の下で苦闘する病院、医師の姿は、「医療連携」の意義と共に当事者である患者には正しく理解されていない。


医療界の激変の影響は、営々と築いてきた「Wの会」にも例外なく及んでいる。中核病院は神奈川区から隣接の鶴見区に規模も設備も充実して移動した。連携医療圏の拡大と、高度医療の使命を託された構成スタッフと、開業医を含め、関与する医師集団の意識も変わりつつある。


幸い、19年に及ぶ「Wの会」の活動により作られた、疾患別の分科会の活動により近隣病院とも活発な連携を結んでいる。今一度原点に戻り、これらの分科会の横の連絡を通して、ネットワークガバナンスを形成し、更に、病院、患者、開業医側の意見を入れながら連携ネットワークパスを形成して、地域医療の再構築を組むべく、シンクタンクとしての役割を果たしたい。

2007.11.12